•アレルギー疾患の病因アレルゲンを投与していくことにより、アレルゲンに暴露された場合に引き起こされる関連症状を緩和する治療法をアレルゲン免疫療法といいます。
•「アレルゲン免疫療法は、一般的な対症薬物療法とは全く異なった臨床的意義、すなわちアレルギー疾患の自然経過の修飾と、全身的・包括的な臨床効果を期待して行われるものである。」とされており、症状を抑える治療(対症療法)とは異なり、アレルギーそのものを治療する方法といえます。
アレルゲン免疫療法のうち、舌の下に薬を投与する方法を舌下免疫療法といいます。
舌下免疫療法は、1980年ほどから研究が始まり、それより以前(1910年ほど)から行われていた皮下免疫療法に比べて重篤な副反応の頻度が非常に低く、効果が期待できるため、現在、世界的に広くおこなわれている方法です。
日本では、ダニとスギの2抗原に対する舌下錠が保険適応となっています。
舌下に短時間、飲み込まず保持した後、飲み込みます。
舌下内服は前後2時間は激しい運動、飲酒、入浴を控える必要があります。
効果
効果は開始3〜4ヶ月ほどから認め、1年くらいで強い効果となります。その後も、継続することで効果が増強されることが報告されています。
3年継続することで、中止後も効果の持続が期待でき、3年以上の継続が推奨されています。
しかしながら、中止後は3〜5年かけて徐々に効果が落ちることも報告されています。
少ない症例数ではありますが、過去の報告では、3年使用した患者よりも5年使用した患者の方が中止後もより効果が長く持続しており、そのことから3年より5年間の継続をすすめる専門家もいます。
開始時期
•スギ
副反応リスクが上がるスギ花粉の散布時期を避ける必要があるため、当院では、ゴールデンウイーク明けから11月末までの間のみ、開始しています。
来シーズンからの効果を期待される場合は、夏〜秋に開始する必要があります。
スギの舌下免疫療法は、供給量不足のため、初回量に出荷調整がかかっています。
当院では現在、幾分かの余裕があります。しかしながら在庫がなくなる可能性もありますので、ご希望の方は早めのご来院をお願いします。
•ダニ
特に制限はありません。
主な副作用
口の中の浮腫、腫れ、かゆみ、不快感、異常感
唇の腫れ
のどの刺激感、不快感
耳のかゆみ
など
重大な副作用
ショック
アナフィラキシー
頻度は非常に低いですが、上記のような副反応が起こる可能性があります。
そのため、当院では、安全に摂取するために、副反応への対処方法を初回摂取時の待ち時間の間に説明しております。
当院での舌下免疫療法開始の流れ
舌下免疫療法は初回は最初から少ない量から開始し、一定期間問題なけれb、増量します。増量した量を維持量と言います。
1. 診察
アレルギー症状・既往歴の確認
気管支喘息の方は、呼吸機能検査で開始可能か評価することがあります。
検査上、呼吸機能の低下がある人や気管支喘息のコントロールが不良なかたは、副反応が強く出る恐れがあります。
日本や、欧米ではいずれも気管支喘息の呼吸機能検査が問題ないことを確認するように手引きやガイドラインで決められています。
また、血液検査で感作があるかを確認します。感作がない(血液検査で値が上昇していない)場合は、効果が期待できない可能性が高いからです。
2. 診察
採血結果を説明の上、舌下免疫療法の初回量を処方します。
3. 外来で初回摂取
診察室で一緒に説明を受けながら初回量を摂取します。外来にて30分様子観察をします。
問題なければ、維持量を処方します。
4. 診察
自宅で摂取して問題ないかを確認します。
局所的な副反応を認める場合は、症状が出にくい摂取方法があります。
院長は、アレルギー専門施設で多くの症例を経験しており、豊富な経験と、文献的考察のもと、本人、ご両親と相談しながら、指導させていただきます。